本名Robin Cook.1940年4月5日のニューヨーク生まれで,1966年Columbia University Medical School 卒業後, ハワイのQueens HospitalとHarvard Universityで一般外科医のトレーニングを受け,その後Massachusetts Eye and Ear Infirmaryで眼科医として勤務しています.医学会での話題を取り上げ,スト−リー展開の上手さで一気に読ませます.文章の読みやすさは林克己医学博士の力量によるところが大きいと思われます.
2002年のShock (卵子提供)以来翻訳が出版されていませんでしたが,やっと10年振りに2012年7月10日にSeizure(発作)が扶桑社から発刊され ました.訳者は川副智子氏に変更されていますが,林克己医学博士に劣らぬ読みやすさであり,引き続き翻訳が継続されることを願っています.
The Year of the Intern
(1972年) |
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★★★★★ |
Coma (昏睡) (1977年) |
デビュー作で映画化もされています.医学生スーザン・ウィーラーがボストン記念病院の特定の手術室で行われた手術後に,次々に患者が昏睡状態に陥る原因を探るとそこには意外な事実が.本編のテーマは医療事故と臓器移植でしょうか. |
★★★★ |
Sphinx ( スフィンクス) (1979年) |
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★★★★★ |
Brain (脳) (1981年) |
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★★★★ |
Fever
(発熱) (1982年) |
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★★★ |
Godplayer ( 神を演ずる者) (1983年) |
天才的な心臓外科医を夫に持つ,糖尿病を患う精神科のレジデントであるキャシー・キングズリーが主人公です.手術後相次いで起きた不審死の原因を,友人で病理レジデントのロバート・サイバートと共に探り,真相に近づいた時,ロバートも謎の死をとげてしまいます.キャシーとロバートが生前語りあった ”病理学者は何でも知り,なんでもやってのける.だが,いつも手遅れだ,” ”外科医は何も知らず,なんでもする.内科医はなんでも知り,何もしない.” は,なかなか味わい深い言葉です. |
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Mindbend (洗脳) (1985年) |
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Outbreak (感染) (1987年) |
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Mortal Fear (死の恐怖) (1988年) |
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Mutation (突然変異) (1989年)
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Harmful Intent ( 医療裁判) (1990年) |
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★★★ |
Vital Signs
(妊娠徴候) (1991年) |
ロビン・クックの作品中,唯一主人公が再登場した作品です.アウトブレイク(感染) で活躍したマリッサ・ブルーメンタール(アウトブレイク)が不妊治療のため通院しているクリニックで起きた自殺に端を発し,物語が展開します.同クリニックでマリッサを含む複数の患者がめずらしい病気に罹患している事から,原因究明のため舞台はオーストラリア,香港,中国へと広がります.本編のテーマはコマーシャル・ベースに乗った不妊治療に対する警鐘でしょうか. |
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Blindsight (盲点) (1992年)
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Terminal ( 末期症状) (1993年) |
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★★★★ |
Fatal Cure (致死療法) (1994年) |
デイヴィッド・ウィルソン(内科医)とアンジェラ・ウィルソン(病理医)の夫婦が主人公です.赴任先の病院で次々とデイヴィッドの患者が原因不明の病気で急死.急死は意外な原因で,この謎解きが今回の目玉です.また,その根底にある医療制度にも批判的であり,エピローグでは ”事業家の良い考えは,かならずしも医療関係者の良い考えとは一致しません.権力を持った人たちが収益のことばかり考えていると,困るのは患者さんへの医療です .” と主人公に語らせています. |
★★★★ |
Acceptable Risk
(許容量) (1994年) |
主人公である看護婦キンバリー・スチュワートの祖先が17世紀に魔女狩りにあい処刑されましたが,300年の時を経て,その真相解明に乗り出す物語です.魔女扱いされたのはある物質による錯乱状態であり,その物質の新薬としての製品化をめぐって物語は進行しますが,最後はいつものごとく手に汗握る展開です.本編のテーマはバイオテクノロジーにより開発されている新薬に対する不安でしょうか.各製薬会社とも新薬の開発にしのぎを削っていますが,この作品の発表後に鳴り物入りで発売された新薬が重篤な肝障害のため販売中止となりました.病気だけに劇的に効く新薬ができればよいのですが. |
★★★ |
Contagion (伝染) (1995年) |
ニューヨーク市監察医シリーズ物で,監察医ジャック・ステープルトンが主人公となり,通常都会ではありえない感染症の真相究明に乗り出す内容です.今回は会員制度の医療団体 (HMO :Health Maintenance Organization)に批判的な目が向けられています. 我が国でも医療保険制度改革により,米国に倣った管理医療制度に移行しようとしていますが,この制度には診療内容を保険者が管理するという致命的な欠陥があります.米国が抱えている問題が日本で繰り返されないよう切望します.小説は犯人が今ひとつしっくりこないのですが,筆の上手さで読ませます. |
★★★★ |
Chromosome 6 (第六染色体) (1997年) |
ニューヨーク市監察医シリーズ物で,監察医ジャック・ステープルトンとローリー・モンゴメリーが主人公です.ニューヨーク市監察院から死体が消失,死体が肝臓移植を海外で受けていたことが判明し,舞台は赤道ギニアへ.伏線が最後に一つにつながる展開は流石です.本編のテーマは進化し続けるバイオテクノロジーに対する警鐘でしょうか.本編に登場するボノボですが,実際にコンゴ川流域に生息し,人間に最も近い類人猿と考えられています.教育することによりたき火をする,キーボードで人間と会話する,ビデオゲームで遊ぶなどの行為が可能になるようです.なお,免疫応答を制御する遺伝子群は主要組織適合遺伝子複合体(MHC:major histocompatibility complex)であり移植に重要な役割を有しています.人間のMHCはHLAといい第六染色体上にあることから,本題名になったと考えられます. |
★★ |
Invasion (侵略) (1997年) |
初のSF物です .空から落ちてきた黒い小石が人間を刺し,刺された人間はインフルエンザ様症状を発症した後,人格が変わってしまいます.その原因はウイルスであり,地球征服を企んでいるといった内容ですが,内容・ストーリ展開ともに今ひとつ. この作品はテレビ化されています. |
★★★★ |
Toxin (毒素) (1998年) |
外科医キム・レッジスは一人娘を病原菌性大腸炎O157で失い,その原因を追究し,ストーリーが展開します.O157は米国では1993年1月にワシントン州で,日本では1996年7月に堺市で発生しています.今回は世界で話題を集めたO157がテーマです.なお,著者あとがきで集約的な農業と畜産業が,現に新たな,恐るべき汚染の形を生み出し,それがなおも拡大する恐れを見せていると述べていますが,牛肉の輸入再開は心配ないでしょうか. |
★★★★ |
Vector (媒介) (1999年) |
ニューヨーク市監察医シリーズ物です. 米国に恨みを持つ旧ソ連の亡命者が,反政府主義者と手を結び,生物兵器テロを画策します.これに対抗するのがおなじみの,監察医ジャック・ステープルトンとローリー・モンゴメリーです.日本では1995年にオウム真理教事件が起こっていますが,テロに対する警鐘が今回のテーマです. |
★★ |
Abduction (遭遇) (2000年) |
今回から文字の大きくなり助かりました. 現代版浦島太郎といった内容のinvasionに次ぐSF物ですが,ストーリー自体が退屈で,いつもの緊迫した場面描写もみられません. |
★★★ |
Shock
(卵子提供) (2001年) |
不妊治療クリニックで献卵したハーヴァード大学大学院生のジョアンナ・マイスナーとデボラ・コクランが,ウィンゲート・クリニックに侵入して献卵した卵子の行方を探ると,そこには予想外の事実が.最後はいつものRobin Cook お得意の施設内での追いつ追われつの展開ですが,今回のテーマは,人工授精の問題点とクロモソーム・シックスでもみられた,バイオテクノロジーに対する警鐘でしょうか. |
★★★★ |
Seizure
(発作) (2003年) |
初の上下2巻とボリュームは十分です. 前作で中途半端な終わり方をしたのですが,ジョアンナ・マイスナーとデボラ・コクランは無事救出されたもようで,ウィンゲート・クリニックはバハマで事業を継続し, 警備課長であったカート・ハーマンも健在です.今回のテーマは,著者あとがきで述べているように,生命科学と宗教的背景も絡んだ政治との対立でしょうか. しかしながら,2012年に京大よりパーキンソン病のサルに対するES細胞移植の治療効果の報告がありましたが,10年近く前に予言していた Robin Cook の慧眼はさすがです. |
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Marker
(2005年) |
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Crisis (2006年) |
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Critical (2007年) |
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Foreign Body (2008年) |
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Intervention (2009年) |
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Cure (2010年) |
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Death Benefit (2011年) |
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